ジュブナイルRPG『ペルソナ』シリーズが、1996年9月20日の第1作発売から30周年を迎えた。これにあわせてセガサミーホールディングスは9月28日、個人投資家向けコンテンツ「セガサマニア」でシリーズの歩みを振り返る特集記事(前編)を公開した。

記事によれば、シリーズ累計販売本数は2026年6月時点で全世界3000万本を突破。販売の構成比は北米が約40%、日本・欧州・アジアがそれぞれ約20%で、海外が約8割を占めるという。

なお、これは販売拠点ごとの集計で、北米拠点には中南米、アジア拠点には中東・北アフリカの販売も含まれる。現代日本の高校生たちを主に描いてきた作品が、いまや販売の大半を海外で稼ぐ作品ブランドになっているわけだ。

「オンリーワン」から「共感」へ舵を切った『ペルソナ3』

『ペルソナ』は、アトラスの看板RPG『真・女神転生』シリーズの流れを汲んで生まれた。タイトルの「ペルソナ」とは、心の中に眠る”もうひとりの自分”が神や悪魔の姿で現れたものを指す。

第1作『女神異聞録ペルソナ』と続く『ペルソナ2』は、あえて対象を絞り、熱心なファンをつかむ「オンリーワン」路線だった。転機となったのが2006年の『ペルソナ3』だ。昼は学園生活を送り、日付が変わる瞬間に現れる「影時間」では怪物シャドウと戦う二重構造に加え、ボーカル入りのBGMやスタイリッシュなデザインを採用した。セガサミーはこれを「ユニーク&ユニバーサル(独創と共感)」への転換と位置づけている。2024年のリメイク『ペルソナ3 リロード』などを含めた『ペルソナ3』シリーズの累計は500万本を超える。

ただし当時のアトラスは、経営面で苦しい時期にあった。2010年に親会社のインデックス・ホールディングス(のちのインデックス)へ吸収合併され、法人としては一度消滅。その親会社が2013年に民事再生法の適用を申請し、セガが事業を譲り受けた。翌2014年には「株式会社アトラス」の社名が復活している。セガサミーは、『3』の手応えが苦境下でも開発を続ける自信となったと振り返る。

派生作で裾野を広げ、『5』で世界へ

2008年の『ペルソナ4』では、格闘ゲームやリズムゲームといった派生作の展開が本格化した。同じ時期にはテレビアニメや音楽ライブなど、ゲーム以外への展開も始まり、現時点で『ペルソナ4』シリーズの累計は570万本を超える。

そして海外での存在感を決定づけたのが、2016年の『ペルソナ5』だ。2017年には世界的なゲーム賞「The Game Awards」でベストRPGを受賞し、『ペルソナ5』シリーズの累計は1300万本を突破した。過去作のPC版などマルチプラットフォーム展開も進み、シリーズ全体の累計は2020年から2024年の4年間で約2倍に伸びている。

「日本先行」ではなくなった届け方

こうした変化は、同シリーズの届け方にも表れている。『ペルソナ5』は日本発売(2016年9月)から欧米版の発売(2017年4月)まで約半年を要した。これに対し、2022年に発売された『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』のリマスター版は15言語で同時発売された。アトラスの2024年の完全新作『メタファー:リファンタジオ』も世界同時発売だった。さらにシリーズ初の基本無料タイトル『ペルソナ5: The Phantom X』は、2024年に中国・アジアで配信が始まり、日本・北米は2025年からと海外が先行した。

今後は、2027年2月に『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』のフルリメイク『ペルソナ4 リバイバル』が発売予定だ。2026年6月には、『5』(2016年)以来となるナンバリング最新作『ペルソナ6』の制作も発表された。

興味深いのは、現代日本の学校生活という極めてローカルな題材が、むしろ世界で共感を集めている点である。海外が8割を占める以上、新作は最初から世界に向けて届けることがますます前提になっていくだろう。

後編では「ペルソナスタジオ」総合プロデューサー・和田和久氏へのインタビューが掲載される予定だ。次の30年に向けた戦略に注目したい。