没入型体験施設を運営する米新興企業コズム(Cosm)は、ユニバーサル・フィルムとの提携を発表。第1弾として、映画『シュレック』(2001年)の没入型体験をコズムの各施設で上映する。

ユニバーサル・フィルム、ドリームワークス・アニメーション、VFXスタジオ「Reel FX」との共同開発により誕生した『シュレック・イン・シェアード・リアリティ』は、オリジナル映画を従来のアスペクト比(16:9)で上映しながら、コズムの12K+のLEDドームや会場全体に、新たに制作したダイナミックな映像を映し出す。

コズムにとって、ワーナー・ブラザース・ピクチャーズに続く、2件目の主要スタジオとの提携となる。映画はコズムにとって重要なプログラム要素としての地位を確立しており、ファミリー向け作品からR指定作品まで、いずれもチケット収入を補完する形で、グッズや飲食の売上向上に寄与している。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「没入型ドーム施設を運営する米コズムが、ユニバーサルと組み、映画『シュレック』の没入型上映を始める。手法が興味深い。本編は従来の画角(16:9)のまま上映し、その周囲、12Kの巨大LEDドーム全体に、新たに制作した映像を広げるのだという。作品を作り直すのではなく、作品の「外側」を演出する発想である。これは、映画館とラスベガスのSphereの間に生まれた、第三の形式と言える。Sphereの『オズの魔法使い』は本編そのものを球体用に再構築する大工事だったが、コズム方式なら原作の完全性を保ったまま、沼の世界に包まれる体験を足せる。改変への抵抗が少なく、制作費も抑えられ、過去の名作へ横展開しやすい。ワーナーに続く大手2社目の提携は、スタジオ側もこの「軽い没入」に商機を見た証だろう。豊富な旧作カタログが、体験施設の新商品に変わっていく。映画の資産の生かし方に、また一つ選択肢が加わった。」