パブリッシャーのIllFonicは8月31日、非対称対戦ホラー『Halloween: The Game』について、国内向けPS5版の販売を中止すると発表した。理由はCEROのレーティングを取得できなかったことだという。PC(Steam/Epic Gamesストア)版とXbox Series X|S版は、予定どおり9月9日に発売される見込みだが、予約済みのPS5版については、プラットフォーム側で返金処理がおこなわれる。
本作はジョン・カーペンター監督のホラー映画「ハロウィン」を原作とし、殺人鬼マイケル・マイヤーズと4人の住民が1対4で戦う非対称対戦を軸に、マイケル側の視点で物語を追うシングルプレイも用意される。
公式の説明によれば、審査の壁になったのは生々しい暴力描写とヌード描写だった。表現を規制すれば原作映画の世界観が大きく損なわれ、プレイヤーが期待する体験も提供できなくなる。そう判断した結果、修正して出すのではなく、国内PS5版の販売自体を取り下げたという。
「CEROが通らない」とはどういう状態か
CEROとは、家庭用ゲームの年齢別レーティングを審査する特定非営利活動法人だ。最上位には18歳以上のみを対象とする「Z」区分がある。ただしCEROの倫理規定には、年齢区分とは別に「禁止表現」が定められており、これを含むと判断された作品にはどの区分も与えられない。よって海外のESRBやPEGIで成人向け区分を得て流通している作品でも、日本では販売できない事態が起こりうる。
同じ理由で日本から消えたタイトル
今回のような事例は過去にも存在してる。2022年10月には、KRAFTONがSFホラー『The Callisto Protocol』の日本発売中止を発表した。CEROレーティングを通過できず、内容を変更するとプレイヤーが期待する体験を提供できなくなると判断した、というのが理由だ。立て付けは今回とほぼ同じだが、あちらはPC版を含む全機種が対象で、日本から完全に消えた。同作と系譜を同じくする『Dead Space』も、2008年のオリジナル版に続き、2023年のリメイク作品がコンソール版の国内展開を見送っている。
逆に、規制を受け入れて発売された例も少なくはない。2008年から2009年にかけて国内発売された『Fallout 3』の日本語版では、街に据えられた核爆弾を起爆させる選択肢が削除され、人間の分離欠損表現も取り除かれた。近年でも『アサシン クリード ヴァルハラ』の日本語版が、CERO審査に向けて表現の一部を修正したうえで発売されている。今回の判断は、この「直して出す」道をあえて選ばなかった点で対照的だ。
一方、ジャンルが近くても通った例はある。今回と同じIllFonicが開発した『Friday the 13th: The Game』は、2018年にナツメアタリからPS4向け日本語版がCERO Zで発売されている。非対称ホラーの代表格『Dead by Daylight』も、国内ではCERO Zのパッケージ版が流通してきた。ジャンルごと弾かれるわけではないことは、前例が示している。
なぜPS5版だけが止まったのか
PC版とXbox版が残るのは、CERO以外の枠組みで販売できるためだ。ダウンロード専用タイトルを対象とする国際的なレーティング制度「IARC」があり、本作もその18+区分を取得している。PlayStation Storeも2022年3月にIARCを導入したが、18歳以上を対象とするタイトルには引き続きCERO取得を求めてきた。
今回の分岐は、その運用差が表面化した形だ。ダウンロード販売が主流となったいま、同じ作品が機種によって買えたり買えなかったりする状況は、今後も繰り返される可能性が高い。














