英国のインディーズ映画ストリーミングサービス「Mubi」の登録者数は、2026年第1四半期(1〜3月)に過去最高の170万人に達した。パレスチナ問題の影響により一時落ち込んだが、V字回復を遂げた。情報筋の話などを元に、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が4月10日伝えた。
2024年、Mubiはホラー映画『サブスタンス』を1,200万ドル(約19億円)で買収した。同作は興行収入7,700万ドルを記録し、主演のデミ・ムーアがゴールデン・グローブ賞を獲得。2025年春には登録者数が当時としては過去最高の144万人となった。しかしその後、米ベンチャーキャピタル(VC)セコイア・キャピタルが投資家として参画すると、同社がイスラエル軍と提携するスタートアップ企業にも出資していたことから物議を醸し、昨年末時点の登録者数は約120万人に落ち込んだ。関係者によると、Mubiは2025年に、約2億ドルの売上高に対し、730万ドルの損失を計上した。
エフェ・カカレルCEOはWSJに対し「加入者減少や成長鈍化はは全て現実のものだった」とコメント。一方で、今年は明るい見通しだと語った。事業計画に変更はなく、作品ラインナップ拡充やアフリカ、アジア、東欧への進出などに注力するとしている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「170万人——Netflixの3億人と比べれば小さな数字だが、Mubiのビジネスモデルの本質はスケールではなく「選球眼」だ。1,200万ドルで買収した『サブスタンス』が興行収入7,700万ドルを記録し、主演のデミ・ムーアがゴールデン・グローブ賞主演女優賞ノミネートをはじめ多くの賞で評価を確立した。
投資の6倍以上のリターンと批評的な成功を同時に生んだこの判断は、キュレーションプラットフォームとしてのMubiの価値を証明している。
パレスチナ問題をめぐる出資者への批判で登録者が144万人から120万人に落ち込んだ事実は、ストリーミングサービスが「何を配信するか」だけでなく「誰と組むか」でユーザーの信頼を左右される時代を示している。
アフリカ、アジア、東欧への進出という次の戦略は、IFPI(国際レコード産業連盟)が高成長を示す新興市場と重なる。大手が見逃す「良い映画」を発掘し届けるというMubiのポジションは、エンタメ産業が巨大プラットフォームに収斂する中で、独自の価値を持ち続けている。」














