ラスベガスに総工費23億ドルの球体型アリーナ「スフィア(Sphere)」を所有する米スフィア・エンターテインメントは4月16日、同社の会長兼CEO付特別顧問であるデビッド・ディブル氏を、副会長に任命したと発表した。ディブル氏は今後、経営陣と連携し、スフィア独自の技術をさらに発展させる機会を模索するとともに、スフィアの能力を最大限に活かした没入型の体験を提供していく。
ディブル氏は2016年、ライブエンターテインメント技術の開発を専門とするMSGベンチャーズのCEOとしてスフィア・エンターテインメントに入社。マディソン・スクエア・ガーデン・エンターテインメント(MSGE)、マディソン・スクエア・ガーデン・スポーツ(MSGS)も含めたMSGポートフォリオ全体でテクノロジー部門を統括してきた。それ以前はケーブルビジョン・システムズでCTOを、ヤフーで幹部をそれぞれ務めた。
スフィア建設でも重要な役割を果たしており、ドーラン氏が「スフィア」のビジョンを初めて語ったのはディブル氏との会話の中でだった。ディブル氏は、スフィアの音響、映像、および接続技術の開発を統括。これには「スフィア・イマーシブ・サウンド」が含まれ、ラスベガスのスフィアだけでなく、ニューヨークのビーコン・シアターやラジオシティ・ミュージックホールでも導入されている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「ラスベガスに2023年開業した総工費23億ドル(約3,650億円)の球体型アリーナ「スフィア」——直径約160メートルの外壁全面がLEDで覆われ、内部は世界最大級の没入型スクリーンと立体音響を備える、これまでにないライブ会場だ。
2025年の年間売上は12億2,000万ドル(約1,940億円、前年比8%増)、調整後営業利益は2億6,180万ドル(約416億円)と前年比138%増——ビジネスモデルの正しさが数字で裏付けられてきた。
その技術的な魂を設計したのがディブル副会長だ。スフィア・イマーシブ・サウンドがラスベガスだけでなくビーコン・シアターやラジオシティ・ミュージックホールにも展開されていることは、スフィアの技術が「一つの会場の仕様」ではなく「ライブエンタメのインフラ」として育ちつつあることを物語る。
ILLENIUMのスフィア公演で映画品質のVFXワークフローが使われ、EDMが「クラブカルチャー」から「総合芸術」に昇華されたように、スフィアは体験の定義そのものを更新し続けている。ディブル氏の副会長就任は「次の展開に向けた体制固め」と読める。アブダビとナショナルハーバーへの展開計画が進む中、スフィアが世界に複数展開するシナリオが現実味を帯びてきた。」














