10月15日、Rockstar Gamesは『グランド・セフト・オートVI』(以下、GTA6)のローンチトレーラーを公開した。発売は11月19日で、対応機種はPS5とXbox Series X|Sだ。その2週間前の11月5日には、任天堂がNintendo Switch 2向けに『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のフルリメイクを発売する。

両作の発売を目前に控え、2026年の年末商戦の構図が見えてきた。読み解くカギは「音楽」だ。

大手が避けた11月、任天堂は2週間前に置いた

GTA6は当初2025年秋の発売予定だったが、2026年5月26日、さらに11月19日へと2度延期された。日付が固まると、他社の大型タイトルは9〜10月への前倒しや2027年への移動が相次いだと海外メディアは報じている。

そのなかで任天堂は9月8日、ゼルダ40周年の配信番組で時のオカリナの11月5日発売を発表した。SNSでは「GTA6と真っ向勝負」との反応も見られたが、GTA6はSwitch 2では発売されず、同じハードの上で競うわけではない。現実として重なるのは、プレイヤーの財布と遊ぶための時間だ。

価格はGTA6の通常版が9800円、時のオカリナはダウンロード版が7980円。任天堂は10月29日に国内向けの40周年デザインのSwitch 2本体(6万2980円)も発売しており、GTA6の発売前に本体とソフトが並ぶ形になっている。

GTA6は音楽を「入口」にする

今回のトレーラーで特に注目を集めたのが音楽だ。グラミー賞の受賞歴を持つフランスの電子音楽デュオJusticeがゲームのオリジナルスコアを担当すると発表され、Tame ImpalaやSZAらを迎えた新曲「Flower in a Hurricane」が映像とともに初公開された。9月には米アトランティック・レコードと組んだ公式アルバム『Grand Theft Auto VI: The Album』も発表している。発表時にはTravis ScottやKeith Richardsらの6曲を先行配信し、10月にはBad Bunnyらがホストを務めるゲーム内ラジオ局も明かした。

この手法には下地がある。2023年12月の第1弾トレーラーで使われたTom Pettyの「Love Is a Long Road」は、Spotifyによると再生数が前週比で約3万7000%増えた。第1弾と第2弾では既存曲で話題を生んだが、今回は新曲を予告編で初披露し、楽曲のリリースそのものを宣伝に組み込んだ形だ。ゲームのパッケージ版はディスクを入れずダウンロードコードのみとする一方、アルバムはCDやレコードでも売る。音楽を、ゲームを遊ばない層にも届く「入口」として位置づけているとみられる。

時のオカリナは音楽を「遊び」にする

時のオカリナも、音楽が作品の中心にある。リメイク版ではオカリナの演奏が音声入力に対応し、鼻歌や本物のオカリナに合わせてゲーム内のリンクが演奏する。ソフトと同じ11月5日にはホリから対応周辺機器「エレクトリック 時のオカリナ」が発売され、スマートフォン向けの連携サービス「ZELDA NOTES」では自作の楽譜を作って共有することもできる。

GTA6が音楽をゲームの外へ広げて新しい客を呼び込むのに対し、時のオカリナはプレイヤー自身の声や演奏をゲームの中に取り込む。どちらも音楽を軸に据えているが、向きは正反対だ。

同じ年末で異なる2つの勝ち筋

今年の年末商戦は、海外AAAと日本発の看板IPのリメイクによる正面衝突というより、異なる方法で注目を集める2作の競い合いといえる。GTA6は音楽チャートまで巻き込む「エンタメ全体のイベント」になれるか。そして時のオカリナは、Switch 2が迎える2年目の年末をどこまで押し上げられるか。発売前の段階で、両社の戦い方の違いはすでにはっきりと表れている。