米連邦地方裁判官は9月30日、米グローバルメディア企業ペンスキー・メディア・コーポレーション(PMC)および教育テクノロジー企業チェッグがそれぞれ提起した、「AIによる概要」機能を巡る対グーグル訴訟を却下した。
両社は、グーグルが検索分野における違法な独占的地位を利用し、AI要約を通じて自社ウェブサイトからのトラフィックを横取りしているとして、独占禁止法違反を主張していた。
担当判事は今回、原告の主張は、自社のコンテンツを無料で公開すれば、グーグルから検索トラフィックが送られてくるという「期待」に過ぎず、グーグルとの合意に基づくものではないと指摘。原告側の独占禁止法違反の主張はいずれも成り立たないと判断した一方、出版社が置かれた状況に同情しないわけではないとし、独占禁止法の及ぶ範囲に不備があるとすれば、それは議会や規制当局が検討すべき問題だと述べた。
同判事は3月にも、別の出版社が提起した同様の訴訟で原告の主張を退けていた。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「ペンスキー・メディアの名に馴染みがなくても、傘下の媒体名を聞けば話は早い。ビルボード、ローリング・ストーン、バラエティ、ハリウッド・レポーター。音楽とエンタメ報道の看板を束ねる米国最大級のメディア企業だ。チャートや批評で音楽文化を支えてきた同社が、グーグルのAI要約で読者を奪われたと独禁法違反を訴え、退けられた。判事は「無料で公開すれば読者が送られてくる」という期待は合意ではないとした。だが、その期待こそ過去20年のウェブメディアを支えた事業モデルだった。米調査ではAI要約のある検索で通常の検索結果のクリック率は8%、ない場合は15%。アーティストの情報を調べても記事にたどり着かない「ゼロクリック」の世界では、取材や批評への投資原資が細る。判事は法制度に不備があるなら議会や規制当局が検討すべきだと指摘。音楽報道を支える仕組みが、法廷だけでなく議会にも問われている。」














