映画ファンから熱狂的な支持を集める映画レビューのソーシャルネットワーク「Letterboxd」の身売り協議が最終段階に入っている。同社は売上高が1,500万ドルと予測される中、今回の取引により企業価値は3億ドル(約472億円)に達する見込みだ。
ニューヨーク・タイムズ紙は9月24日、新たに同紙自身とA24が買収に関心を示していると報道した。このほか、既存の買収候補にはソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)、パラマウント・スカイダンス、Netflixなどが挙がっている。
売却手続きを担当するブティック型投資銀行ライオンツリーのアレックス・マイケル氏(シニア・マネージング・ディレクター)は9月24日、ロサンゼルスで開催されたフィナンシャル・タイムズ紙主催のカンファレンスに登壇。Letterboxdを「驚異的なサービス」と称え、2026年の興行収入回復の鍵だと評価した。
Letterboxdは、FandangoやRotten Tomatoesなどの類似サービスと「やや異なり」、映画ファンを他のファンのレビューへと導き、新しいコンテンツを発見させる役割を果たしていると指摘。Letterboxdの最大のユーザー層は18〜24歳で、「有料マーケティングを一切行わずに」月間3,000万人のユーザーを集めているという。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「この案件、買い手候補の顔ぶれを眺めるだけで、一本の記事になる。ソニー・ピクチャーズとパラマウントが買えば、興行の川上、つまり観客が観る映画を決める瞬間への影響力を握る。Netflixなら、作品への熱量データと発見の導線を自社の推薦に繋げられる。ニューヨーク・タイムズは、料理のレシピやゲーム、スポーツ媒体を束ねてきた「関心事のサブスク束」戦略の次の駒として、映画の趣味コミュニティを迎える形だ。そしてA24。インディー映画の熱いファンダムと共に育った映画会社が、そのファンの集会所ごと迎える構図で、文化的な相性は随一だろう。同じサービスに、興行、配信、報道、制作と、立場の違う5社が群がる。それだけ「映画ファンの集まる場所」が産業の要衝になった証である。懸念があるとすれば、どこの傘下でもレビューの独立性が保てるか。誰が迎えるにせよ、この広場の空気を壊さないことが、買収額以上に難しい宿題になる。」














