シンガポール調査会社メディア・パートナーズ・アジア(MPA)は、アジアの主要7市場における動画コンテンツへの支出が、2026年に151億ドル(約2兆3,817億円)に達するとの予測を発表した。テレビの予算が減少する中、新規支出のほぼ全てをストリーミングと現地制作映画が占めている。
調査対象は、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム。MPAは、これら7市場における2025年の支出額を148億ドルと推計しており、2031年までに154億ドルに達するとみている。
テレビは依然として全体の約60%を占めており、オンライン動画は30%、映画は10%となっている。韓国(69億ドル)とインド(50億ドル)を合わせると、2025年の投資額の約80%を占めた。
インドではストリーミングがテレビを追い抜き、2025年のコンテンツ投資のうちオンライン動画が46%を占めるのに対し、テレビは42%にとどまる。プレミアムVOD視聴の58%をJioHotstarが占め、スポーツが需要をけん引している。
韓国ではNetflixが首位を走り、国内のストリーミングサービス「TVING」が2位につける。インドネシアでは、昨年第4四半期から黒字化している「Vidio」が、600万人の有料加入者を擁して市場をリード。MPAによると、TVINGは野球の中継権を幅広く保有していることが、加入者数を530万人から650万人に拡大させる要因となった。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「このレポートで面白いのは、各国の勝者の顔ぶれに共通点があることだ。インドではJioHotstarがプレミアム視聴の58%を握り、その需要を牽引するのはスポーツ、つまりクリケットである。韓国では国内勢TVINGが、野球の中継権を幅広く押さえたことで加入者を530万から650万人へ伸ばし、Netflixに次ぐ2位につけた。インドネシアで黒字化を果たした現地サービスVidioも、サッカーなどスポーツに強い。ドラマや映画の名作は、いずれ他でも観られる。だが地元のリーグの生中継は、その時、そこでしか観られない。解約を防ぎ、月額を払い続けさせる錨として、スポーツほど強い商品はないのだろう。米国でもNBAやNFLの権利を巡り配信各社が巨費を競うが、同じ力学がアジア各国で、クリケットと野球とサッカーを軸に再現されている。日本でも配信各社のスポーツ投資は加速中だ。生中継という「配信の錨」の争奪は、世界共通の主戦場になっている。」














