ソニー・ピクチャーズ テレビジョン(SPT)は8月、PlayStation 5(PS5)本体からアクセス可能な、広告付き無料ストリーミングTV(FASTチャンネル)の開始を発表。SPTのキース・ル・ゴイ会長は、9月17日に開催された「Varietyエンターテインメント&テクノロジー・サミット」で、その狙いは「PS5のユーザー4,000万〜5,000万人が、このプラットフォームに非常に深く関わり、お気に入りのゲームに没頭しつつ、エンターテインメントの視聴も楽しむようにすることだ」と説明した。

同氏は、視聴者にとって関連性の高いエンターテインメントコンテンツを厳選することと、ゲーム体験からエンターテインメント体験への移行を極めてシームレスにすることの2つを実現すれば、従来、リニアチャンネルにとってはリーチが困難だった視聴者層(リーチするのが非常に難しい一方、広告主にとっては非常に魅力的な視聴者層)を確実に惹きつけられると自信を示した。

さらに、視聴者、チャンネルパートナー、広告主それぞれに価値を提供することで「『1+1=2をはるかに超える』ような効果をもたらす」と主張。このサービスをソニーならではの強みと捉えており、映画、テレビ、音楽、ゲームの各部門を全てを一元的に擁している点で、ハリウッドの他の多くの企業とは一線を画していると述べた。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「ソニー・ピクチャーズのル・ゴイ会長が、PS5への無料放送(FAST)チャンネル導入の狙いを語った。照準は「PS5のユーザー4,000万〜5,000万人」。この層の正体を考えると、戦略の妙が見えてくる。ゲームに没頭する若い層は、テレビをほぼ観ない。従来の放送はもちろん、配信の広告でも捕まえにくい。ところが可処分時間は長く、購買力もあり、広告主が喉から手が出るほど欲しい相手である。会長の言う「リーチが困難だが、広告主には非常に魅力的な視聴者層」だ。その彼らが毎日起動する機械の中に、番組を直接届ける。鍵は、会長が挙げた「ゲームからの移行のシームレスさ」だろう。ゲームの合間、ロード時間、友達を待つ数分。アプリを探して起動する一手間があるだけで、この層は離れていく。その摩擦を消せるのは、本体のメニューを設計できるプラットフォーマー自身である。ハードを持つ者だけが立てる売り場に、ソニーは局を開こうとしている。」