バンダイナムコエンターテインメントは10月2日、フライトシューティングゲーム『ACE COMBAT 8: WINGS OF THEVE』(以下、エースコンバット8)をPS5、Xbox Series X|S、PC(Steam)向けに世界同時発売した。1995年に始まった同シリーズのナンバリング最新作で、2019年1月発売の『エースコンバット7』から7年8カ月ぶりの新作となる。

同作品の滑り出しは好調だ。PCゲームの配信プラットフォームであるSteamでは、売上ランキングでグローバル首位を獲得。国内でも、発売前の予約期間を含めて10月2日まで6日連続で首位を守った。同時にプレイしている人数の最大値を示す「最大同時接続数」は、10月3日に5万2694人を記録(SteamDB調べ)。前作の歴代最高1万3758人の約3.8倍にあたる。批評家の採点を集計するMetacriticでも、PS5版のメタスコアは88点と高い。

前作『7』が築いた土台

今回の好発進の背景には、前作の成功がある。『7』は発売後も販売本数を伸ばし続け、2021年1月時点の250万本から、2026年1月には世界累計700万本に到達した。映画『トップガン マーヴェリック』とのコラボDLCも追い風になったとされる。シリーズ累計2100万本のうち、およそ3分の1を『7』1作が占める計算だ。

一方で『7』のPC版は、家庭用ゲーム機版より約2週間遅れての発売だった。今回はPC版を含む3機種で同日に発売しており、ここが前作との大きな違いである。前作を大きく上回る同時接続数には、PC版の同時発売が寄与したとの見方もある。

4つのエディションと「早く買う理由」

販売面での工夫も見逃せない。通常版(9790円)に加え、3日早く遊べるアーリーアクセス権付きのデジタル版「デラックスエディション」(1万1990円)を用意した。さらにプレミアムバンダイ限定で、グッズ付きの「コレクターズBOX」(1万5730円)と「ACE of ACES BOX」(3万9600円)も揃え、予算や熱量に応じて選べる構成とした。

アーリーアクセスは9月29日に始まり、正式発売を待たずに、空母への着艦に苦戦するプレイヤーの声が相次ぐなど話題が広がった。加えて、2006年にPS2で発売された『エースコンバット・ゼロ』の移植版を早期購入特典とした。単体では販売されず、入手できるのは10月2日朝までのデジタル版購入と、パッケージ版の初回生産分に限られる。しばらくシリーズから離れていたファンにも「今買う理由」を与えた形だ。長く休んでいたIPを立ち上げるにあたり、発売前後の数日間に関心を集中させる仕掛けを重ねたといえる。

国産大作に広がる「PC同時発売」

背景には、日本のゲームメーカーにとってPC市場の存在感が急速に高まっていることがある。例えばカプコンでは、2026年3月期の販売本数5907万本のうち、PC向けが3217万本と全体の54.5%を占めた。2025年2月に発売された『モンスターハンターワイルズ』もPC版を同時に発売し、Steamで最大同時接続数約138万人を記録している。国産の大作を世界中のPCユーザーに初日から届けることは、いまや標準的な戦略になりつつある。

好発進の先にある課題

だが、課題が全くないということでもなく、PC版では先行アクセスの段階から一部の環境で強制終了が報告され、同社が原因を調査している。Steam版の『ゼロ』は本編を起動しないと遊べない形式で提供されており、同社は事前の案内不足を謝罪したうえで、単体アプリとして配信できるか、実現の可否を含めて検討している。

Steamのユーザーレビューは、日本語に限ると発売当日時点で「非常に好評」だった一方、10月5日時点の全言語のレビューは約1万2000件で、好評が約78%。評価は「やや好評」にとどまる。オンラインモードの使い勝手や、ミッションの種類の少なさに対する不満も寄せられている。

『7』が7年かけて販売を積み上げたように、このシリーズの真価は発売後の運営で決まる。初動の熱をアップデートや改善でどこまで長く保てるかが、7年8カ月ぶりに戻ってきた歴史ある国産IPの今後に期待したい。