アマゾン・ドット・コム傘下のPrime Videoは9月14日、地域・全国の主要ニュースを扱うオンデマンドのニュースクリップ(短編動画)を提供すると発表した。

Prime Videoアプリの「ニュース」セクションにある「トレンドトピック」および「ローカルニュース」のカルーセルから、全国および地域のニュースを網羅した「厳選プレイリスト」が視聴可能となる。同プラットフォームが既に提供している、多くの主要プロバイダーによるローカル、国内、世界のニュース報道に加わるもので、プレイリストにはABC News Live、CBS News 24/7、CNN Headlinesなど「複数の信頼できるニュースソース」からのコンテンツが掲載される。

Prime会員かにかかわらず、米国内の全ユーザーが利用可能。当初はテレビやその他リビングルーム向けデバイス向けに提供され、近くウェブやモバイルアプリでも展開される予定だ。

近年、TikTokをニュースソースとして扱う若者(特にZ世代)が増えており、アマゾンがTikTokのニュース配信手法を模倣するのは賢明な判断と言える。ただ、TikTokの「For You」ページに掲載されるニュース見出しの多くは、従来メディアではなく、動画クリエイターによって提供されている点が異なる。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「この新機能、形はTikTok風だが、中身の設計思想が対照的で面白い。TikTokで若者がニュースに触れる時、見出しを運ぶのは多くの場合、報道機関ではなく個人のクリエイターだ。ニュースを噛み砕き、感想を挟み、自分の顔と声で語る。その親密さこそが、Z世代への浸透の鍵だった。一方Prime Videoが並べるのは、ABCやCBSなど「信頼できるニュースソース」の公式クリップである。形式は短尺でも、語り手は組織のままだ。この違いは、賭けでもある。信頼性では大手素材に分があるが、TikTokのニュース体験の核が「形式」ではなく「誰が語るか」にあったなら、公式クリップの羅列では若者の習慣は動かないかもしれない。実際、アマゾンはTikTok風の買い物フィードを畳んだ前例も持つ。報道の信頼と、語りの親密さ。この二つをどう両立させるかは、日本の報道各社がショート動画に挑む際の宿題とも、そっくり重なっている。」