「MAPPA EXPO 15th Anniversary」展覧会アンバサダー のん

アニメーションスタジオMAPPAの設立15周年を記念した展覧会「MAPPA EXPO 15th Anniversary」が、2026年9月16日、東京・有楽町のYURAKUCHO MUSEUMで開幕した。一般公開に先立ち、関係者に向けた内覧会が実施され、そのオープニングイベントに俳優・アーティストであるのんが展覧会アンバサダーとして登場した。

本展は劇場版『チェンソーマン レゼ篇』、『進撃の巨人』The Final Season、アニメ『呪術廻戦』をはじめ、MAPPAがこれまで制作を手がけた作品の魅力や世界観を体感できる展示構成となっている。キャッチコピーは「物語のすぐそばへ。」。MAPPAが制作を手がけた映画『この世界の片隅に』で主人公・北條すずを演じたのんが、作品への思いと展示の見どころを語った。

『この世界の片隅に』への思い入れ

MAPPAとのつながりは、片渕須直監督作『この世界の片隅に』で北條すずの声を演じたことに始まる。役が決まった当時の気持ちを聞かれたのんは、「アニメーションなんだけど、本当にその作品の中の物語が実在していると感じられるような世界が広がっていて。すずさんの声ができなかったらこの先絶対後悔すると思った」と振り返った。

© 2019こうの史代・コアミックス / 「この世界の片隅に」製作委員会

本作は「のん」名義になって初めての仕事でもあった。その位置づけを「のんとしてはタメ」と表現し、「新しいスタートを切って役者をやっていく上で、特別な作品になるに違いない」「自分の人生の使命と感じた」と、役への深い思い入れを語った。

「アニメーションの嘘の幅は無限にある」声の演技を語る

実写とアニメーションでは、演技のアプローチが異なるとも話す。身体表現や表情を使わない分、「よりアニメーションの方がテクニカルな感じがする、技術が必要とされる気がしますね」。収録は完成前の映像を見ながらの作業で、「監督の頭の中にある映像を手繰り寄せながらやるみたいなところがあった」という。

フィクション、ノンフィクションに関わらず作品づくりには必ず「嘘」が発生するとしたうえで、「舞台での嘘と映像の嘘も違うし、実写の嘘とアニメーションの嘘も全く違う。アニメーションの嘘の幅の方が無限にあると思うんですよね」と語る。やれることの幅が広いぶん、その嘘を見破り、読み解きながら演じることに苦労したと明かした。また監督は作品に対して真摯に向き合っており、丁寧に演出してくれて、演者ともみっちり向き合ってくださる方と仕事ができてよかったとも語る。

「どの作品を観てもお洒落」のんが語るMAPPA作品の魅力

MAPPAが制作を手がけた作品で好きなタイトルを聞かれると、アニメ『呪術廻戦』『ユーリ!!! on ICE』『地獄楽』を挙げた。MAPPAならではの魅力としては「素晴らしくて丁寧で。その世界に没入できるところが好き」「どの作品を観てもお洒落だなと感じる」「気の利いた演出、カメラワーク、動きが素晴らしい」と語り、「観ていると「かっこいい」と痺れます」とコメントした。

 

『この世界の片隅に』のイメージが強かったというのんは、近年の作品について「すごい!こんな顔があったんだ!」と驚いたといい、「バリバリアクションものもやって、かっこよくて、おしゃれでという作品をたくさん作っているので、たまげました」「毎回新しい作品を作るたびにワクワクしています」と印象を語った。

そのかっこいいの正体については、以前ラジオに大塚学氏を迎えた際のやり取りを引き合いに出す。どんなジャンルの作品でも「かっこいい、カッコつけよう」を大事にしているという話から、「可愛くてかっこいいとか、クールでかっこいいとか、いろんなかっこいいがあるよねっていう話になったんですよね」。そのうえで作品を見ていくと、「MAPPAの確立したかっこいいを感じられて、本当にすごいなと思います」。

「じゃあ、ここに来るしかないじゃん!」一足早く会場を体感

「物語のすぐそばへ。」というテーマについては「素敵ですね。作品のファンだとそばに行きたいですから。その願いを叶えてくれる展示ということで、ファン思いで素晴らしいと感動します」と共感。「アニメーションって、線を書くところから始まって、現実世界にはない色や動きや表情が生まれるので。その作品をそばで感じられるというのは、テレビや映画でみているだけでは得られない感覚があるんじゃないか」と、展覧会の魅力を語った。

一足早く会場を回った感想は「素敵でした。生の原画も展示してあったり、初お披露目の造形や美術展示もいくつもあって」「じゃあ、ここに来るしかないじゃん!」。一部を除いてほぼ全ての展示で写真撮影が可能である点にも触れ、「映える場所がいっぱいありました」と紹介した。没入型の展示については「素晴らしいです。その作品だけに集中できる展示になっていると思うので、まっさらな気持ちでそこだけに一点集中で頭の中を作品の世界で埋め尽くされる展示だなと思いました」と絶賛している。

「世界観に合わせたファッションで」のん流の楽しみ方

展覧会の楽しみ方については、独自のこだわりも明かされた。ひとつは服装だ。「その展覧会の世界観に合わせたファッションで臨むっていうのが好きで」として、作品の世界に合わせた服装や色合いを身につけて足を運ぶことを提案した。

もうひとつは鑑賞ルートの裏技。「私は展示を静かに見るのが好きなので、あの人静かに見そうだなっていう人を見つけて、その人と同じルートを行くようにしてます」。ただし「その方の邪魔をしてもいけないので、ひっそりついていくっていう技術を身につけないといけないです。これは高度な展覧方法です」と付け加えた。

限定グッズについても、自身で選んだアイテムを手に取りながら「おしゃれ、色合いが素晴らしい」「デザインがさりげないから、普段も身につけやすい」と、その魅力をおすすめした。

新たに公開された3エリアの会場写真とフロアマップ

今回新たに会場写真とフロアマップが公開されたのは3エリア。劇場版『チェンソーマン レゼ篇』エリアの「出会いの電話ボックス」は、デンジとレゼが出会い、二人の運命が動き始めた印象的な場所を、劇中に登場する電話ボックスを再現して構成した。

『進撃の巨人』The Final Seasonエリアの「あの丘の風景ができるまで」は、物語の最後にミカサがエレンの眠る丘を訪れるシーンの背景を取り上げたもの。制作当時の作業机の再現とともに、制作資料と壁面の完成版を見比べながら、一枚の風景ができるまでの工程をたどれる。

アニメ『呪術廻戦』エリアの「五条が寝ていたとある一室」は、第29話で五条が眠っていた呪術高専の一室をイメージしたエリアだ。なお、展示内容の一部は前期・後期日程で入れ替えを予定している。

ジャンルも時代設定も異なる作品が、同じフロアに並ぶ

実際に会場を回ると、MAPPAがいかに幅広いIPを手がけてきたかを改めて実感させられる。『進撃の巨人』のようなダークで重厚な作品から、サッカーを題材にした青春ものである『イナズマイレブン』、『ベルサイユのばら』のような古典的な少女漫画原作まで、ジャンルも時代設定も画づくりも全く異なる作品が同じフロアに並んでいる。

一つの作風に寄せるのではなく、作品ごとに最適な表現を選び取っていることが展示全体から伝わってくる。設立から15年でこれだけの振れ幅を持てていることが、スタジオとしての強みになっているのだろう。

『地獄楽』の花の色、アコギ、そして15年後

イベント後半の代表質問では、MAPPA作品の世界に入れるとしたら、という問いに『地獄楽』を選択。「お花の色を実際に目で見て体感してみたいなって思います」と語った。その世界で生き残れそうかと重ねて問われると、「私何の能力もないので。殺し合いとかもしたことがないし。自信がないですけど、なんとか隠れて生き残りたいなとは思いますね」と答えている。

本展のテーマでもある「没入」にちなみ、最近時間を忘れるほど没頭していることとして挙げたのはギターの練習だった。中学生ぐらいから弾いてきたものの「本当エレキしか弾いてこなかったんで、アコースティックギターにあんまり触れてこなかったんですよ」。それが「最近は奮発してアコースティックギターを買ったので猛烈に練習してて」という状況で、「フィンガーピッキングで弾き語るっていうのに没入してます」と明かした。

15年後にどんな表現者でいたいかという問いには「限界知らずの表現者でいたいなと思いますね」と回答。「自分で限界を作らない、限界を感じないくらい、もう天井知らずで、ずっと自分の表現を発掘し続ける人でいたいなって思います」と語った。

最後にのんは「MAPPA15周年ということで、新作がたくさん飾られていて、美術展示も本当に素晴らしいです。作品の世界に包まれているような感覚になる展示なので、皆さんもぜひ足を運んでみてください。」とメッセージを送り、イベントを締めくくった。身体の動きが使えない分、声だけで感情の輪郭を立ち上げる——作り手側の視点が本人の言葉で語られることで、展示を見る目線も変わってくる。完成した映像だけでなく、その手前にある線や色までを「すぐそば」で確かめられる展覧会になっている。

 

開催概要「MAPPA EXPO 15th Anniversary」

会期:2026年9月16日〜2026年12月7日
前期日程:2026年9月16日〜2026年10月25日/後期日程:2026年10月28日〜2026年12月7日
※2026年10月26日、10月27日は休館
会場:YURAKUCHO MUSEUM[東京・有楽町](東京都千代田区丸の内3丁目5番1号 東京国際フォーラム地下1階)
開催時間:10:00〜18:00(最終入場17:00)
主催:MAPPA
チケット料金(税込):一般 前売2,000円/当日券2,200円、大学生・高校生 前売1,600円/当日券1,800円、中学生・小学生 前売1,200円/当日券1,400円、未就学児 無料
グッズセット券(税込):A(劇場版『チェンソーマン レゼ篇』)、B(『進撃の巨人』The Final Season)、C(アニメ『呪術廻戦』) 各 前売4,000円/当日券4,200円
入場者特典:カット袋風封筒入り原画ポストカード(3作品 各全5種)
※本展覧会は日時指定入場制
※展示内容の一部は前期・後期日程で入れ替えを予定

© 2025 MAPPA/チェンソーマンプロジェクト ©藤本タツキ/集英社
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会
© 2019こうの史代・コアミックス / 「この世界の片隅に」製作委員会
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会