この夏も、7月31日から8月2日までの3日間、お台場で開催された「TOKYO IDOL FESTIVAL 2026」(TIF2026)に行ってきました。3日間で観たのは、約70組。一応出演者なので出演者パスを持っていて、なおかつ自転車で会場間を移動しているので、TIFに参加している人の中で一番観ている可能性があります(2日目だけは、夜に別の仕事があって途中までだったのですが)。
今年もだいぶ日焼けしたんですが、これは完全なTIF焼けであり、外のスポーツみたいなことは一切していません。逆光で育っています。
先に結論を言うと、今年のTIFは「地方組」がめちゃめちゃ良かった。
連載の初回なので、まずは総評から。SNSでも話題になっていた「同じ味のアイドル」の話、6連覇の絶対王者が敗れたクイズの話、DJ KOOさんとエビ中で会場がアニソンフェスになった瞬間、そして秋元グループの「周辺」がなんだか面白いことになっている話まで。全力でヲタクとして過ごしたTIFを振り返ります。
「オフィシャルヲタク」になりました
本題の前に、少しだけ。アナウンサーになったのが23歳のとき、ヲタクとしての自認が芽生えたのが14歳のとき。アナウンサーである以前に、ヲタクとして35年以上過ごしてきました。止むに止まれずアニメやマンガやアイドルに接し続けていたら、いつの間にか仕事にさせていただけるようになっていたのですが、50歳になった今も、自転車で秋葉原やアイドル現場に赴いてしまう習性は変わっていません。
そんな折、MEDIAMIXIから「オフィシャルヲタク」という、ますます仕事とプライベートの境界がわからない肩書きをいただきました。連載タイトルは「よっぴーの仕事じゃないです」。全力でヲタクとして過ごしている目線から見える世界を、お届けしていきます。
「同じ味のアイドル」が多かった
まず前提として、アイドル現場は今、女性のお客さんがめちゃくちゃ増えています。ただTIFに関しては、まだ全然「男のフェス」のままです。
そのうえで、今回SNSで言われていて、僕も「そうだな」と結構思ったのが、「同じ味のアイドルが多い」ということでした。
辛口なことを言ってもしょうがないのかもしれませんが、お客さんを四つ打ちで騒がせる、というやり方がパターンとして一個できあがっていて。衣装も、オリジナルなものより「KAWAII LAB.以降」という感じの人たちが多くなっている。
そのパターンをやりきっているのが、多分UtaGe!だと思うんです。マックスまでやり切るグループは、オリジナルとしての矜持があるんだなと思う。ただ、アイドルの商売として「四つ打ちでガンガンやってお客さんを騒がせる」というお仕事をこなして、リクープはしている、そういうグループがむちゃくちゃ多かった——あえて辛口に言ってしまうと、それが今年の第一印象です。
その一方で、「地方組」がめちゃめちゃ良い
で、その一方で何が良かったかというと、地方組がめちゃめちゃ良い。
東京は、お客さんがある程度いるので、「このお客さんをこう騒がせたら、なんとかなるよね」という形ができてしまっている感じがあります。すぐ飽きられる可能性もありそうな気もするんですけど、この現象。
一方で地方は、そもそも「アイドルが好き」という人が、自分の地元にいいアイドルがいたらそれは行くよね、という雰囲気になってきている気がして。だからこそ——アイドルって本来、音楽が面白かったじゃないですか。その面白い音楽が、地方から出てくる感じになっている。
今回で言うと静岡のfishbowl。北海道のタイトル未定。岡山のfeelNEO。そして僕が今、圧倒的に通っている名古屋のジエメイ。2025年から東京にも活動拠点を広げた、九州発のばってん少女隊も。今回は、地方組の音楽がめっちゃ良かった。
3日目、60組を超えたあたりで観に行ったfishbowlは、あまりにも音楽が凝り凝りで素晴らしくて。もともと観る予定ではなかったのに、「でもやっぱりfishbowl観たいわ」と予定を変えて向かって、大正解でした。もともと良い音楽が、TIFというシチュエーションでよりハマる。
TIFで輝いて見えるのは、毎年出るのが当たり前になっている人たちよりも、まだ数回しか出ていない人たちが、ものすごくモチベーション高くやっている姿だと思います。
TIFは、毎年「違うイベント」に変わる
ロックフェスって、「5年間、同じアーティストばっかり出てるな」みたいな感覚、あるじゃないですか。それに対してTIFは、マジで去年と今年で「違うイベント」に変わります。いる人たちが全然違うし、去年まだ小さいステージでやっていたなと思ったら、今年はもう当たり前のように一番でっかいステージに出ていたりする。今年で言えば、「最後のTIF」となるわーすたのような、節目のステージもありました。
こんなに通ってしまう理由は、結局毎年違うからなんだよなと思いながら、今年も観ていました。
6連覇の絶対王者が敗れた「アイドルクイズ王決定戦」
ここで、僕が今年のTIFで関わっていた企画の話をさせてください。
1日目は、アイドルと短歌の歌会をやる「アイドル歌会」。2日目は、渋谷で毎月やっている、アイドルとトークするだけのイベント「アイふた」のTIF出張版と、昼にはヤクルトさんのY1000のステージ(Task have Fun、Appare!それぞれとの企画でした)。そして3日目が、クイズ作家の古川洋平さんと毎年やっている「アイドルクイズ王決定戦」です。
このアイドルクイズ王で今年、事件が起きました。これまで6連覇していた絶対王者・寺嶋由芙さんを、FULIT BOXの琴川あみさんが、決勝の直接対決で破って初優勝したんです。めっちゃ熱かった。
なんでアイドルとクイズなのかというと——アイドルって、表に出さないのが普通ですけど、表に出さないことも含めて、みんな基本的に負けず嫌いじゃないですか。負けず嫌いじゃないと、アイドルという商売は絶対に続かないと思うんです。
ただ、スポーツみたいなガチンコの勝負は、能力差がストレートに出てしまうし、ケガも怖いので、なかなかやらせられない。その点クイズは、本当にメンタルスポーツなので、習熟度にそこまで関係なく、ガチで勝負ができる。アイドルの負けず嫌いをナチュラルに引き出せるのが楽しくて、この企画はもう8年ぐらいやらせてもらっています。
そこに今年、新たに「強い人」が出てきた。スターが誕生した、というのが非常に熱かったです。FULIT BOXは、これまでずっとTIFに出てきたようなグループではないんですが、実際にステージを観に行ったら、やる気のある感じがすごくあって、観ていてとても楽しかったです。
DJ KOOさんとエビ中で、「アニソンフェス」になった瞬間
今年、個人的に面白かった瞬間の話もします。
DJ KOOさん、今年は本当にいろんな現場でお見かけしていて、めちゃくちゃ稼働されています。少し前に、アニメファンの前でDJをされているのを観る機会があったんですが、その選曲が「めっちゃわかってる」アニソンDJのそれで、ちょっとビビったんですよ。すごい、DJ KOOさん”理解ってる”と。
で、TIFでもやるぞと思って観ていたら、「とっとこハム太郎」がかかった。その瞬間、「アニクラじゃねえか!(笑)」と言いながら、Tシャツのお客さんが走っていく。GET WILDもかかる。アニクラでした。
そしてその真横、HOT STAGEではエビ中が「Go!Go!Here We Go!ロック・リー」——『NARUTO』のスピンオフアニメ『NARUTO SD ロック・リーの青春フルパワー忍伝』のED曲です——をやっている。いや、これもうアニソンフェスでしょ、という瞬間が同時に起きていて、アニヲタでもある自分としては、個人的には今年一番面白かったです。
秋元グループの「周辺」が、変なことをやり始めている
あと、意外とみんな気づいていないと思うんですが。AKB48——というか48グループ以外の、秋元康さん周辺のグループが、良い意味で変なことをやり始めています。
たとえば22/7。一緒にお仕事をしている縁もあって観に行ったんですが、「佐藤さん」という曲がすごい。ひたすら「佐藤さん」と連呼し続ける曲で、日本一多い名字だけど、僕は僕で、世界で一人だけ——という趣旨の歌なんです。何それ、と心の中でツッコミつつ、最近の秋元さん、周辺グループに対してむしろ愛があるのか?とも思わされる。こんな歌あったんだ、と。
それからRain Tree。秋元さんの大型オーディション「IDOL3.0 PROJECT」から生まれたのがWHITE SCORPIONで、そのデビューに届かなかったメンバーたちが結成したのがRain Treeなんですが、寸劇をやってからライブに入る、という構成をやっていて。そういうことをやるアイドルが今までいなかったわけではないんですが、それ、TIFでやるの?と。
秋元周辺グループ、実は面白いんじゃないか。個人的には、意外と誰も気づいていない注目ポイントだと思っています。
アイドルファンは、いちばん審美眼が厳しいお客さん
今年、「同じ味」という言葉がお客さんの側から出てきたことについても、少し考えました。
僕は、アイドルファンって、どんな業界のお客さんよりも優秀だと思っているんです。
どういう意味かというと——アイドルって結局、十代の女の子が喋っているか、歌って踊っているだけのコンテンツじゃないですか。歌や踊りをもっと極めたパーフェクトな人たちは、世の中にいくらでもいる。それでも、本来は何もないかもしれないはずのところから、その子たちのすごく良い美点を自分たちで見つけて、愛でる。それがアイドルファンです。つまり、審美眼が一番厳しい人たち。
その人たちがSNSで「最近のアイドルは同じ味がする」と言い始めている。これって、アイドルに対する言論はSNSで実はめちゃくちゃ機能していることの証拠だと思います。
ただ、ひとつもったいなさを感じるのは、みんなお目当てとタイムテーブルがかっちり決まりすぎているということ。「ここ、すごく良いよ」という声で2日目・3日目にお客さんが増える、みたいな現象は、もうちょっとあってもいいんじゃないかな。かくいう僕自身が3日目、行く予定じゃなかったfishbowlに予定を変えて向かったりしてますので。
もちろん、ブランドになっているところの強さも感じました。ハロプロとか、どうしたって面白みがあるし、楽しい。そのうえで、成功しているグループのパターンを追いかけるところが多いな、という今年の景色の中で、追われる側の頂点にいるのは、多分UtaGe!とiLiFE!でした。
この2組はいまの勝ちパターンを生み出したグループで、それはすごく良いことだなと思いました。出ているアイドルみんな現役ではあるんですけど、特に「アイドルとしての現役感」があって、今一番波に乗っている感じがするのは、この2組でしたね。
それでも観てしまうので、「仕事じゃないです」
最後に、この連載のタイトルの話をさせてください。
本来、僕は自分の本番だけ司会していれば、それでいいはずなんです。1日目のアイドル歌会、2日目のアイふた出張版とY1000ステージ、3日目のアイドルクイズ王。仕事としては、これで全部。
なのに、それ以外に「見たいから」という理由で約70組観ている。この部分は、仕事じゃないです。ただ見たいだけです。
ちなみに、TIFが終わっても現場は続いていて、次の日曜には「でか美祭」で@onefiveを観てきました。元さくら学院の彼女たちが、もう7年やっているんだと気づいたんですが、さくら学院時代の曲もそのままではなく、ちゃんとサンプリングして作り直して取り入れる、という振り切り方をしていて、今すごく良いんじゃないかと思っています。客席に女の子がすごく増えているという話も聞きました。
というわけで、そういう毎日の中から見えたものを、この連載では書いていきます。次回は、TIFと同じお台場で今年初開催された「POP GALAXY」の話をする予定です。それでは、また次回。














