『リネージュ』シリーズで知られる韓国NC(旧NCSOFT)のMMORPG『AION 2』グローバル版が、10月5日(日本時間22時)に正式サービスを開始した。対応はPC(Steamと同社独自のプラットフォーム「PURPLE」)で、サーバーは北米・南米・欧州・日本の4地域に置かれる。先行してサービス中の韓国・台湾を除く、世界向けのバージョンだ。
基本無料なのに「売上1位」になった理由
9月30日から始まった早期アクセスでは、初日にSteamの売上ベースの世界チャート「トップセラー」で首位に立ち、米国やフランス、ドイツ、ブラジルなど10カ国以上でも1位を記録した。正式リリース前のウィッシュリスト登録は130万件を超えている。
基本プレイ無料のゲームが売上で1位になったのは、5日間の早期アクセス権が付いた有料の「ファウンダーズパック」(日本価格3,900円から)が大量に購入されたためだ。お金を払ってでも先に遊びたい層が、それだけ厚かったことを示している。SteamDBによれば、早期アクセス初日の同時接続プレイヤー数は最大で17万人を超えた(PURPLE経由の利用者は含まない)。
「PCの国」がモバイルへ、そして再びPCへ
今回の展開が注目されるのは、韓国ゲーム産業の歩みと重なるからだ。韓国は1990年代末から『リネージュ』に代表されるPCオンラインゲームで成長し、2008年の初代『AION』もPC向けだった。しかし2010年代後半からはスマートフォンが主戦場となり、NCも『リネージュM』(2017年)以降、モバイルMMORPGで稼ぐ構造に移った。2024年の売上約1兆5781億ウォンのうち、モバイルが約6割を占める。
その流れが現状変わりつつある。2025年11月に先行した『AION 2』の韓国・台湾版はPCとスマートフォンの両方で遊べる作品だったが、グローバル版はPC専用として開発された。北米や欧州のMMORPGユーザーはモバイルよりPCを好む傾向があり、それに合わせた判断だという。NCのPCゲーム売上も、2026年4〜6月期に2四半期連続で過去最高を更新している。
Steamが「世界への近道」になった
韓国発のタイトルがSteamで世界に打って出る流れも、ここ数年で鮮明になった。2022年にはSmilegateの『LOST ARK』が欧米でSteam同時接続132万人を記録し、2024年にはNC自身も『THRONE AND LIBERTY』でピーク33万人超を達成した。2026年3月には、Pearl Abyssのアクションアドベンチャー『紅の砂漠』がPCと家庭用ゲーム機で同時発売され、初日に200万本を販売。Steamでも同時接続27万人超を集めた。
Steamは、ひとつのストアで世界中のユーザーに届く巨大な流通網だ。『LOST ARK』と『THRONE AND LIBERTY』が欧米展開でAmazon Gamesと組んだのに対し、『AION 2』はNC自らが世界向けの運営を担う。NCの売上に占める海外比率も2026年4〜6月期に52%となり、国内(48%)を上回った。
本番は正式サービス後
とはいえ、MMORPGの成否は長期運営で決まる。『THRONE AND LIBERTY』は早期アクセス期間の同時接続が約5万人だったが、正式サービス開始後に33万人へ跳ね上がった。早期アクセスで17万人を集めた『AION 2』が、誰でも無料で遊べるようになった今、どこまで伸び、どれだけ定着させられるかが次の焦点となる。
モバイルで国内市場を固めた韓国大手が、PCとSteamで再び世界に挑む。旧来のファンと新規層の双方をどう取り込むかも見どころだ。














