欧州で権威のある映画祭の一つとして知られる「サン・セバスチャン国際映画祭」(スペイン)で、クリエイティブ・インベスターズ・カンファレンス(CIC)が9月22〜23日に開催された。イベントでは、今夏に米国の興行収入が過去最高を記録したことや、各国での特定産業の育成、資金調達における株式投資の関与拡大、AIなどについて、盛んに議論が交わされた。米エンターテインメント業界誌バラエティーが伝えた。
パブロ・ラライン監督(『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』)は、弟でプロデューサーのフアン・デ・ディオス・ラライン氏と今年立ち上げた、画期的な新TVOD(都度課金型動画配信サービス)「Pijama」を紹介した。
このTVODは、一般の観客が観ることのできない優れた映画に、世界中または特定の地域での視聴機会を提供し、収益の80%を権利保有者に還元する仕組み。どのプロデューサーも映画をアップロードでき、費用は2年間で100ドル(約1万5,800円)。これまでに、MK2、アルファ・バイオレット、ビジット・フィルムズなどの販売代理店と契約を締結している。
ラライン監督は「世界の大手映画祭に出品される映画の80〜85%は配給されず、観る方法がない。配給が決まったとしても、権利はすぐに失効してしまうことがある」と指摘。実際、2026年のカンヌ映画祭の時点で、2023年のパルム・ドール受賞作『落下の解剖学』は、アフリカやオセアニアの一部地域で視聴できなくなっていた。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「『ジャッキー』のパブロ・ラライン監督が、スペインのサン・セバスチャン映画祭で、自ら立ち上げた都度課金の配信サービス「Pijama」を披露した。狙う穴は明確である。監督によれば、世界の大手映画祭に出品される映画の80〜85%は配給されず、観客が観る方法がない。配給が決まっても、権利はすぐ失効しうる。実際、カンヌ最高賞の『落下の解剖学』でさえ、今年の時点でアフリカやオセアニアの一部では観られなくなっていたという。傑作と認められた作品ですら、地図の上に「観られない地域」が広がっていくのだ。Pijamaの仕組みは簡潔で、プロデューサーは2年100ドル(約1万5,800円)で作品を載せられ、収益の80%が権利者に入る。世界中の「幻の映画」に、常設の売り場を作る発想である。配信全盛の時代の死角が、実は膨大にあったこと。それを名匠自身が埋めに動いたこと。二重の意味で、記憶しておきたいニュースである。」














