Take-Two Interactive傘下の2K Gamesが、カナダ・バンクーバーに新スタジオ「Small Axe Studios」を設立した。
発表は現地時間8月13日。率いるのは、EA Vancouverで「FIFA」(現EA SPORTS FC)や「Madden」を統率したエグゼクティブプロデューサー、Aaron McHardy氏だ。幹部はほぼEA Sports出身者で固められている。目的は「2Kの次のブロックバスター・スポーツフランチャイズ」の構築だ。
母体は社内研究組織「2K Sports Lab」
Small Axeは、ゼロから立ち上がった新興スタジオではない。2023年に設けられた社内研究組織「2K Sports Lab」を、正式なAAA開発体制へ格上げしたものである。McHardy氏の2K入りも2023年3月であり、3年越しの仕込みが看板を掲げた形だ。
布陣は徹底している。Head of DesignのGary Paterson氏は「FIFA」「NBA Live」などを渡り歩いた22年選手で、直近はCriterion Gamesにいた。オペレーションやエンジニアリングの責任者もEA Sports出身だ。スタジオ名の由来は「小さな斧でも大木を倒せる」。倒すべき大木が何かは、説明するまでもないだろう。
座れる椅子はほとんど残っていない
ただし2Kが参入できる領域は限られている。アメフトは2004年末にEAがNFLの独占シミュレーション権を握って以来、締め出されたままだ。2020年にノンシミュレーション枠で復帰したが、モバイルの「NFL 2K Playmakers」は2025年半ばに終了。EAの独占契約は2030年まで延長されている。
サッカーも一筋縄ではいかない。報道ベースの情報だが、2KはFIFAに対し10年契約とW杯関連権利、FIFPROライセンスを含む条件を求めたものの、2026年W杯商戦の即時収益化を優先したFIFA側と時間軸が噛み合わず、交渉は流れたとされる。ロゴがサッカークラブの紋章を模すことから競技はサッカーとの見方が強いが、有力なライセンスの当てがあるようには見えない。
「GTA後」の柱をどこに置くか
新設に踏み切る理由は、Take-Twoの収益構造を見れば分かる。8月7日の第1四半期決算で同社は、FY2027のNet Bookings見通し80億〜82億ドルを据え置いた。FY2026実績の67億2000万ドルから約20%増という数字であり、その大半を11月19日発売の「Grand Theft Auto VI」に賭けている。問題はその翌年以降だ。GTAは数年に一度しか来ない。
一方、NBA 2Kは毎年確実に回る。前作「NBA 2K26」は1200万本超を販売して前年比9%増、リカーリング消費も7%伸びた。同四半期のリカーリング消費はNet Bookings全体の84%。さらに9月4日には「NBA 2K27」が控えている。当たり外れの激しいパッケージ事業において、運営型スポーツは数少ない安定装置だ。
もっとも、その安定装置はNBA 2Kに大きく偏っている。WWE 2KもPGA TOUR 2Kも年次で回ってはいるが、桁が違う。Small Axeに課されているのは、おそらく「二本目の年次フランチャイズ」を作ることだろう。特定リーグの独占ライセンスが取れないのなら、ライセンスに依存しない設計で勝負するしかない。KONAMIが「eFootball」で基本無料の運営型へ舵を切ったように、前例がないわけでもない。
競技も時期も伏せられている以上、遊べるのは早くとも数年先。2026年のW杯商戦には間に合わない。
なお今回の発表は、EAの550億ドル規模のLBO完了からわずか9日後。場所はEAがFCシリーズを開発するバンクーバーである。偶然かどうかは知らないが、タイミングとしては雄弁すぎるのではないか。














