2026年の大晦日、Netflixに「カウコン」がやってくる。

9月22日、NetflixはSTARTO ENTERTAINMENTによる「COUNTDOWN CONCERT 2026-2027 STARTO to WORLD」を、12月31日に独占ライブ配信することを発表した。対象は世界190以上の国と地域。日本発の音楽ライブ、年越しカウントダウンコンサートの世界同時ライブ配信はNetflix初だ。

通称「カウコン」は、長らく大晦日のテレビ番組として2026年の大晦日、Netflixに「カウコン」がやってくる。

9月22日、NetflixはSTARTO ENTERTAINMENTによる「COUNTDOWN CONCERT 2026-2027 STARTO to WORLD」を、12月31日に独占ライブ配信することを発表した。対象は世界190以上の国と地域。日本発の音楽ライブ、年越しカウントダウンコンサートの世界同時ライブ配信はNetflix初だ。

通称「カウコン」は、長らく大晦日のテレビ番組として親しまれてきた。昨年末の「COUNTDOWN CONCERT 2025-2026 STARTO to MOVE」は、12月31日にFAMILY CLUB onlineで生配信されたのち、Netflixでコンサート本編と舞台裏ドキュメンタリーが配信されている。

つまり、昨年の「カウコン」では年越し後の受け皿だったNetflixが、今年はリアルタイムの会場になったのだ。

この変化は、現在の配信プラットフォームで起きている出来事を象徴しているようだ。今回の配信時評は”番外編”。今後の作品を観るうえでもキーポイントになりそうな、業界の変革を押さえておきたい。

「いま」見るNetflix、「ザッピング」感覚のディズニープラス

映画やドラマを自分の好きな時間に見る――Netflixが世界に定着させた視聴習慣から考えれば、「ライブ」はやや異色のコンテンツだ。

もっとも現在のNetflixでは、スポーツや格闘技、音楽などのライブ配信は珍しくない。STARTOのカウコンでも予定されているように、ライブ終了後にはアーカイブが用意される。ライブは「その瞬間」に観ることに価値のあるイベントだが、視聴者は「大晦日に生で見る」「あとで好きな時間に見る」の両方を選べるのだ。

またNetflixは、STARTOのカウコンにおいて、コンサート本編だけでなく、事前番組を12月に、舞台裏を追ったドキュメンタリー「BEHIND the STARTO to WORLD(仮)」を2027年1月下旬に配信予定。年に一度のビッグイベントを、ライブ配信や一本の映像作品として保存するだけでなく、本番前から終演後まで含めた「体験」として届ける計画だ。

では、ほかのプラットフォームではどんな動きがあるのか?

各社がライブ配信に力を注ぐなか、異色なのは、STARTOの「カウコン」発表から1週間前、ディズニープラスが新機能「おまかせプレイリスト」の世界展開を発表したことだ。

これはアクション映画やロマンティック・コメディ、ピクサー作品、「ミッキー&フレンズ」など、ジャンルやシリーズ、キャラクター、気分に応じたプレイリストを選ぶと、映画やエピソードがシャッフルされて自動再生されるもの。テレビのように時刻に沿った編成ではないが、チャンネルを変えるような操作感が魅力だ。

ディズニープラスが掲げるのは「次々と作品が流れ、身を任せるまま楽しめる視聴体験」。ひとつの作品やエピソードを見たあと、すぐに次の作品を検索したり、そこで見るのをやめたりするのではなく、はじめに切り口を選んだあとは、ひたすらサービスに任せる使い方だ。

すでに配信プラットフォームは、以前のように「見たいときに、見たいものを見られる」あり方だけではなくなった。決まった時間に視聴するライブ配信、複数のコンテンツによるイベントのパッケージ化、テレビのチャンネルを合わせるかのごとく受動的な視聴体験が、綿密な戦略のもとで設計されているのである。

テレビと配信が同じ物差しで

こうした傾向は、テレビと配信プラットフォームが、あらゆる点において急速に接近していることを示している。最も重要なもののひとつが、いまや配信サービスに欠かせない「広告」の存在だ。

今年8月、アメリカのリサーチ企業Nielsenは日本において、テレビとデジタル広告の視聴者を横断して測定する仕組みを拡充。PCやスマートフォン、コネクテッドTV(インターネット経由で動画配信などを視聴するテレビ端末)、リニアテレビ(番組表に沿う従来型のテレビ)にまたがり、同じ人物がテレビとスマートフォンの両方で広告を見ても、「2人」ではなく「1人」として計測することで、広告が実際に届いた人数を把握できる。

Nielsenは6月にYouTubeを対象としてこの仕組みを導入し、8月にはNielsen ONEで測定できるコネクテッドTV広告全体へ対象を拡大した。テレビCMとネット動画広告を別々に集計するのではなく、ひとりの視聴者が複数の画面を行き来することを前提に、広告の到達人数を測る仕組みが整い始めているのだ。

現に2026年の第2四半期、アメリカではテレビ視聴時間の71.5%を広告付きコンテンツが占めた。ストリーミングはそのうち48.2%で、放送の26.6%、ケーブルの25.2%を上回っている。あくまでアメリカ国内のテレビを対象としたデータだが、広告付き映像の視聴時間では、ストリーミングが放送・ケーブルを上回り、最大のカテゴリーとなったのだ。

すでにNetflixは広告事業を急速に拡大しており、今年5月には、ライブ配信の広告について、視聴者ごとに異なるCMを出し分け、広告主が自動取引で広告枠を購入できる仕組みを広げると発表した。ライブ配信は、多くの視聴者を同じ時間に集めるだけでなく、視聴時間そのものを広告収入につなげる場にもなっている。

さらに広告付き映像以外にも視線を転じれば、今年7月には、アメリカではストリーミングがテレビ利用時間全体の49%を占め、なんとYouTubeだけでも14.2%に達した。いまやアメリカでは、テレビ視聴のほぼ半分がストリーミングなのである。

ストリーミングも「視聴率」が大切な時代に

こうした現実に付随して、番組・作品の視聴データも9月から更新速度が上がった。

Nielsenは9月16日、配信プラットフォームの作品がどれだけ見られているかを番組単位で測定する「Streaming Content Ratings(ストリーミング・コンテンツ視聴率)」のデータ提供を、週1回から毎営業日に変更した。視聴の2日後にはデータを把握でき、データ提供までの時間は最大80%短縮された。

重要なのは、Nielsenが「ストリーミングの視聴データを、リニアテレビと同じ速度で提供できるようになった」と説明していることだ。もちろんこの背景には、それだけ配信サービスが日常の視聴時間を占めるようになった現実がある。

Netflixのライブ配信や、ディズニープラスの「おまかせプレイリスト」も、こうした視聴時間をめぐる競争のなかにある。映画やドラマを観ようと決めた時間だけでなく、ライブ配信やイベント的な展開に人を集め、さらには視聴者が何を見るか決めていない時間さえもサービスの中へ取り込む。そして、その視聴時間は広告事業を通じて収益に変わるのだ。以前紹介したショート作品も、こうしたトレンドを受けての一手だろう。

ストリーミング各社は、テレビ番組という形式だけでなく、かつてテレビが日常のなかで占めていた「時間」そのものを奪い合っている。その競争は、配信される映画やドラマのあり方にも、いずれ当然ながら影響を及ぼしていくだろう。

そのとき、配信プラットフォームは、本当に従来のような映画スタジオの代わりになりうるのだろうか。配信オリジナルの映画やドラマは、その芸術性を守り抜くことができるのだろうか?しまれてきた。昨年末の「COUNTDOWN CONCERT 2025-2026 STARTO to MOVE」は、12月31日にFAMILY CLUB onlineで生配信されたのち、Netflixでコンサート本編と舞台裏ドキュメンタリーが配信されている。

つまり、昨年の「カウコン」では年越し後の受け皿だったNetflixが、今年はリアルタイムの会場になったのだ。

この変化は、現在の配信プラットフォームで起きている出来事を象徴しているようだ。今回の配信時評は“番外編”。今後の作品を観るうえでもキーポイントになりそうな、業界の変革を押さえておきたい。

「いま」見るNetflix、「ザッピング」感覚のディズニープラス

映画やドラマを自分の好きな時間に見る――Netflixが世界に定着させた視聴習慣から考えれば、「ライブ」はやや異色のコンテンツだ。

もっとも現在のNetflixでは、スポーツや格闘技、音楽などのライブ配信は珍しくない。STARTOのカウコンでも予定されているように、ライブ終了後にはアーカイブが用意される。ライブは「その瞬間」に観ることに価値のあるイベントだが、視聴者は「大晦日に生で見る」「あとで好きな時間に見る」の両方を選べるのだ。

またNetflixは、STARTOのカウコンにおいて、コンサート本編だけでなく、事前番組を12月に、舞台裏を追ったドキュメンタリー「BEHIND the STARTO to WORLD(仮)」を2027年1月下旬に配信予定。年に一度のビッグイベントを、ライブ配信や一本の映像作品として保存するだけでなく、本番前から終演後まで含めた「体験」として届ける計画だ。

では、ほかのプラットフォームではどんな動きがあるのか?

各社がライブ配信に力を注ぐなか、異色なのは、STARTOの「カウコン」発表から1週間前、ディズニープラスが新機能「おまかせプレイリスト」の世界展開を発表したことだ。

これはアクション映画やロマンティック・コメディ、ピクサー作品、「ミッキー&フレンズ」など、ジャンルやシリーズ、キャラクター、気分に応じたプレイリストを選ぶと、映画やエピソードがシャッフルされて自動再生されるもの。テレビのように時刻に沿った編成ではないが、チャンネルを変えるような操作感が魅力だ。

ディズニープラスが掲げるのは「次々と作品が流れ、身を任せるまま楽しめる視聴体験」。ひとつの作品やエピソードを見たあと、すぐに次の作品を検索したり、そこで見るのをやめたりするのではなく、はじめに切り口を選んだあとは、ひたすらサービスに任せる使い方だ。

すでに配信プラットフォームは、以前のように「見たいときに、見たいものを見られる」あり方だけではなくなった。決まった時間に視聴するライブ配信、複数のコンテンツによるイベントのパッケージ化、テレビのチャンネルを合わせるかのごとく受動的な視聴体験が、綿密な戦略のもとで設計されているのである。

テレビと配信が同じ物差しで

こうした傾向は、テレビと配信プラットフォームが、あらゆる点において急速に接近していることを示している。最も重要なもののひとつが、いまや配信サービスに欠かせない「広告」の存在だ。

今年8月、アメリカのリサーチ企業Nielsenは日本において、テレビとデジタル広告の視聴者を横断して測定する仕組みを拡充。PCやスマートフォン、コネクテッドTV(インターネット経由で動画配信などを視聴するテレビ端末)、リニアテレビ(番組表に沿う従来型のテレビ)にまたがり、同じ人物がテレビとスマートフォンの両方で広告を見ても、「2人」ではなく「1人」として計測することで、広告が実際に届いた人数を把握できる。

Nielsenは6月にYouTubeを対象としてこの仕組みを導入し、8月にはNielsen ONEで測定できるコネクテッドTV広告全体へ対象を拡大した。テレビCMとネット動画広告を別々に集計するのではなく、ひとりの視聴者が複数の画面を行き来することを前提に、広告の到達人数を測る仕組みが整い始めているのだ。

現に2026年の第2四半期、アメリカではテレビ視聴時間の71.5%を広告付きコンテンツが占めた。ストリーミングはそのうち48.2%で、放送の26.6%、ケーブルの25.2%を上回っている。あくまでアメリカ国内のテレビを対象としたデータだが、広告付き映像の視聴時間では、ストリーミングが放送・ケーブルを上回り、最大のカテゴリーとなったのだ。

すでにNetflixは広告事業を急速に拡大しており、今年5月には、ライブ配信の広告について、視聴者ごとに異なるCMを出し分け、広告主が自動取引で広告枠を購入できる仕組みを広げると発表した。ライブ配信は、多くの視聴者を同じ時間に集めるだけでなく、視聴時間そのものを広告収入につなげる場にもなっている。

さらに広告付き映像以外にも視線を転じれば、今年7月には、アメリカではストリーミングがテレビ利用時間全体の49%を占め、なんとYouTubeだけでも14.2%に達した。いまやアメリカでは、テレビ視聴のほぼ半分がストリーミングなのである。

ストリーミングも「視聴率」が大切な時代に

こうした現実に付随して、番組・作品の視聴データも9月から更新速度が上がった。

Nielsenは9月16日、配信プラットフォームの作品がどれだけ見られているかを番組単位で測定する「Streaming Content Ratings(ストリーミング・コンテンツ視聴率)」のデータ提供を、週1回から毎営業日に変更した。視聴の2日後にはデータを把握でき、データ提供までの時間は最大80%短縮された。

重要なのは、Nielsenが「ストリーミングの視聴データを、リニアテレビと同じ速度で提供できるようになった」と説明していることだ。もちろんこの背景には、それだけ配信サービスが日常の視聴時間を占めるようになった現実がある。

Netflixのライブ配信や、ディズニープラスの「おまかせプレイリスト」も、こうした視聴時間をめぐる競争のなかにある。映画やドラマを観ようと決めた時間だけでなく、ライブ配信やイベント的な展開に人を集め、さらには視聴者が何を見るか決めていない時間さえもサービスの中へ取り込む。そして、その視聴時間は広告事業を通じて収益に変わるのだ。以前紹介したショート作品も、こうしたトレンドを受けての一手だろう。

ストリーミング各社は、テレビ番組という形式だけでなく、かつてテレビが日常のなかで占めていた「時間」そのものを奪い合っている。その競争は、配信される映画やドラマのあり方にも、いずれ当然ながら影響を及ぼしていくだろう。

そのとき、配信プラットフォームは、本当に従来のような映画スタジオの代わりになりうるのだろうか。配信オリジナルの映画やドラマは、その芸術性を守り抜くことができるのだろうか?