メタ・プラットフォームズは9月、携帯性を完全に保ちつつ主要なエンターテインメントアプリを利用できる先進的なスマートグラス「Meta VR Glasses」を発表。競合各社も独自の革新的なウェアラブル技術を次々と投入している。

こうした中、公共の場で秘密裏に録画できるウェアラブルデバイスの台頭は、既にいくつかの立法措置につながっている。ニューヨークの裁判所施設ではスマートグラスの使用が禁止され、英国の映画館では使用を制限。欧州連合(EU)全域でも厳しい監視の対象となっている。とりわけ厳しい措置を検討しているのはノルウェー政府で、一般的な公共の場でのスマートグラスの使用を禁止する抜本的な規制案を提案している。

メタはスマートグラスのプライバシー機能を強調しており、録画機能が作動中はLEDランプが点灯し、ユーザーがLEDを操作しようとするとカメラが自動的に無効になるようハードウェアが設計されているとしている。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「既視感を覚える読者もいるだろう。2013年に登場したグーグルグラスは、知らぬ間に撮影されることへの不信を招き、飲食店などで着用を拒まれた。高価格や完成度の問題もあり、2015年に一般向けの試験販売を終了した。十数年後、AIと小型化でスマートグラスは実用品となり、メタと提携するエシロールルックスオティカは2025年にAIグラスを700万台超販売した。普及が進む今、プライバシー問題は無視できない。ニューヨーク州の裁判所は持ち込みを禁じ、英国の一部映画館も着用を制限。ノルウェー政府は一部の公共空間での暫定禁止を法案化する方針だ。メタは撮影時のLED通知や改ざん検知で対抗するが、社会との折り合いはついていない。日本ではカメラ付き携帯電話の普及時、盗撮防止のためシャッター音を消せない仕様が業界の自主規制として定着した。メガネがカメラになる時代にも、地域ごとに新しい作法とルールが生まれていくだろう。」