俳優のニコラス・ケイジは10月10日、ニューヨーク・コミコンのパネルディスカッションに登壇。主演したPrime Video向けのドラマシリーズ『スパイダー・ノワール』の出演契約時に、AI利用に関する同意書への署名を拒否したことを明かした。米エンターテインメント業界誌バラエティーなどが伝えた。
『スパイダー・ノワール』は、Amazon MGMスタジオとソニー・ピクチャーズ テレビジョン(SPT)が共同で製作した。ケイジは、アマゾン・ドット・コムが「非常にAI志向の企業」であるのに対し、自身は異なると説明。同意書に署名しなかったことで「おそらく、あのスタジオ(Amazon MGMスタジオ)とは二度と仕事をすることはないだろうが、それで構わない」と話した。
アマゾンは9月、『スパイダー・ノワール』をわずか1シーズンで打ち切った。同作は、今年のPrime Video作品の中で最多となるエミー賞11部門にノミネート。放送開始から6週間で26億分の視聴を記録するなど、視聴者からも高い評価を得ていたため、打ち切りは多くの業界関係者に衝撃を与えた。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「この話の重みは、『スパイダー・ノワール』の顛末とセットで増す。同作はPrime Video作品で今年最多のエミー賞11部門ノミネート、6週間で26億分視聴という実績を残しながら、1シーズンで打ち切られた。数字と評価が揃っても続編を約束されない時代に、主演俳優がAI同意書を拒めば次の仕事を失いかねないことは、ケイジ本人が一番分かっている。それでも拒否を公言した意味は小さくない。今年2月にはドイツで、吹き替え契約のAI学習条項を巡り声優たちがNetflixを集団ボイコットし、プラットフォーム側は字幕のみ配信も辞さないと応酬した。スターの個人的拒否と、声優たちの集団行動。形は違えど、「演技を学習データにするなら、同意と対価の条件を示せ」という要求は共通している。契約書の片隅のAI条項が、俳優業の尊厳を巡る最前線になった。その現実を、ケイジの一言が照らしている。」














