米テキサス州オースティンで毎年3月に開催される、テクノロジーとポップカルチャーが融合するフェスティバル「SXSW」。TechCrunchの記者は「『SXSWは終わった』と業界内で何年も囁かれてきたが、少なくとも私が話を聞いたテック系起業家たちは、このカンファレンスを依然として非常に価値のあるものだと評価している」と伝えている。

ある投資家・起業家は、SXSWを依然として「素晴らしいアイデアの集まり」だと評価。ただ、多くのフェスティバルと同様、彼女にとって最も「有意義な瞬間」はサイドイベントで訪れたとしている。また、あるベンチャー・キャピタル(VC)のマネージング・パートナーは、現在はより「アンカンファレンス」的な性格が強まっていると主張。イベントがより柔軟になり、参加者が自由に移動して人々と交流し、その後別の場所へ移動できるようになったと述べた。

一方、あるフィンテック企業の共同創業者は、テック系スタートアップの創業者にとって「親密で気取らない発見の場から、コストが高く競争の激しい場へと変化」し、「投資家との交流や体験型マーケティング」に焦点が移ったと話している。

なお、世界最大手の広告会社WPP(英国)傘下のクリエイティブエージェンシー「VML」は、今年のSXSWはAIについて「何ができるか(可能性を思索)」でなく、「今まさに何をしているか(実用的かつ広範な影響)」と向き合う場となったと分析している。

主催者側は、今年の来場者数を約30万人と見込んでおり(最終的な数字は4月に公表予定)、同カンファレンスが依然として勢いと魅力を失っていないことがうかがえる。40周年となる今年は、メイン会場の閉鎖(改修工事)によるイベントやセッション会場の分散化、開催期間の短縮化、バッジ制度の刷新、予約制の導入など、例年と異なる、実験的な要素も多くあった。

榎本編集長「MEDIAMIXIとMusicmanの共同取材として、今年初めてオースティンに取材陣を送った。「SXSWは終わった」——この言説は何年も繰り返されてきた。しかし今年も約30万人が集まり、AIの「可能性の議論」から「実装の現場」へと議題が移った。終わっていない、変わったのだ。サイドイベントやアンカンファレンス的な交流に「最も有意義な瞬間」が生まれるという声は、大型カンファレンスの本質的な価値が「登壇セッション」よりも「廊下の会話」にあることを改めて示している。40周年で会場分散・期間短縮・バッジ刷新と実験的な変化を重ねたことも、硬直した組織ではなく生きているイベントの証だ。AIは「何ができるか」の夢想期を終え、「今まさに何をしているか」の実装期に入った——その転換を肌で感じた3月だった。音楽、映像、ゲーム、スポーツ、テック。エンタメ×ITの現場として、SXSWはまだ終わっていない。」